(十二)柏崎→米沢(慶応四年夏)

 
 拝啓

 於幸様にへ如何お過ごし候にや。
 本年は二度桜に見えるという奇遇の年になりました。於幸様の御身体が思い遣られます。
 京の頃を思えば、米沢は近きにやあらん。
 お達者で。

 
  うちしめり麦穂ぞ香る越の陸この五月雨に人はまどふと


                                     戊辰四月吉日 定敬


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 注:

 【二度桜に見える】…江戸で一度、柏崎で二度目の桜をみたという意味。
 【京の頃を思えば】…この頃定敬は桑名藩の飛び地・柏崎に謹慎を名目で移っていた。実は、水面下で抗戦派を呼び寄せ、七月には会津入する。

 

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