(十三)
会津→米沢(慶応四年秋)
拝啓
於幸様には如何お過ごし候や。
初めて白河の関を越えるも、落日の思い。初秋の風如何様に爽ふれど。戦況はかばかしく振舞酒に酔うもののふ見れば、漸う人心地つく思い。
姉上の御機嫌拝したく思ゆれど、叶わぬ願にか。
照る月の冷え満ち来る山裾に眺めてかなし若松の城
戊辰孟秋 定敬
(十二)へ
(十四)へ
注:
【初めて白河の関を越える】…定敬は柏崎を出て転戦し、会津にはこの年七月十六日に入った。ひと月もしないうちに会津籠城となり、定敬は直前に米沢へ救援を頼みに向かう。
【孟秋】…陰暦七月のこと。