(八)
米沢→京(慶応二年冬)
病中御見舞い有難く頂戴いたしました。
枕元に置き、時折眺めて貴方様のお気遣いを覚えております。
延期になっておりました式部大輔様の帰省がはやまったとのこと。来月十八日頃よりご休暇賜り、京を引き揚げて帰られる由、今朝ほど報せがありました。よろこんでよいこととは思えませぬが、安堵したるは勝手な我が身でしょうか。
それもこれも皆、貴方様のお取り計らいと思われ、此処に深く感謝のこころを述べたいのですが、詞も浮かびません。はしたないことです。
式部大輔様がお戻りになられましたら、貴方様の京での雄姿をお聞かせ頂こうと思っております。貴方様からのお便りはいつも素っ気無いものですから。
しほたるる袖断ち見れば雪迎へひさしの下に夫の立ち居て
丙寅十月二十日 幸
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注:
【式部大輔の帰省】…茂憲は、慶応二年十一月十八日をもって京都警衛の任を解かれる。