第七・八話〜タンゴ・ジェノシディオ Il tango genocidio〜 あとがき
ホンマに、主人公って誰?っつー感じの第7・8話でしたね。しかも、三十代以上のオヤジ出現率が高い。書いてて楽しいですな、ジジイと小娘の遣り取りなんかは。生き別れの妹ぉ?ヴァティカン内部に渦巻く権謀術数の謎が・・・?。作者にも判りません(無責任)。
ジョー・クリサンスマムは、次々回に再登場の予定ですが、今後レギュラー化するかどうかは、神の味噌汁・・・ぢゃなくて、神のみぞ知る。
では、以下今回登場の神父について、語ってみたいと思います。
§神父の思ひ出§
ワタクシの聖職者フェチぶりは自他ともに認めるフェチっぷりです。牧師はダメです。神父でなけりゃいけません。
大学生の頃、ある神学系の男子校に宗教だけの授業を教えておられる先生がいて、何故か知り合いだったのですが、その人は勿論「神父」サンでした。
くぉれがまた、豪胆なお人で、チャペルの中で昼間から酒飲んでおわす。その回りにムサイ男子学生が数人。ワタクシは一応花も恥らう女子大生。しかも、そのガッコの生徒のカテキョーもやってました。男ばっか寄ると、しんでもいいセクハラ話が酒も手伝って凄まじく飛び交う。ええ、そりゃもう遠慮なしに、「先生(ワタクシのこと)えっちな匂いがする。何の香水?」「初体験でイクのか?」とかいうような質問がバンバン来ますよ。
日々、そうゆう欲求不満に世間への憤懣、受験の鬱積が溜まってる高校生の相談相手になっておられるのが、「神父」サンだったわけです。
あるとき、「神父」サンはワタクシにこういう話をしてくれました。学生の一人が、大学に行かないで年上の友人のいる外国に行って働くということを家族に言ったら、反対されてオレどうしよう、という内容の相談を持ちかけてきたそうで。
「家族の反対?結構。家族はお前が南極に行こうが、何処へ行こうが血の繋がりはついて回る。なんぼ怒っても、オカンはいつか赦してくれるかも知れん。けど、他人との関係は、どうや?血縁もなけりゃ、一緒に育ったわけでもない。だからこそ、他人同士の気持ちは大事にせなアカンていうたんや。どうしよるかなー」
そのお言葉で、ワタクシもある意味励まされてしまいました。多少、演技してるなってところもある台詞でしたけど。確かに、血の繋がりは否定できないけど、赤の他人同士の繋がりって、何なんだろう?と思いますもん。それは、初めからあるものではなくて、自分でこれからもっと広く深く作っていくもんだよ、と「神父」サンは言いたかったのではなかろうか、と今更考えるのですけどね。
後日談。ワタクシが仕事し始めてから、旧知に会う暇が無く、一年以上経って漸くチャペルを訪れると、新任の方がおられました。
「○○さんは?辞められたんですか?」
「ええ。去年の1月に。何でも学校の経営者にケンカ吹っ掛けたとかで、即辞表出したそうです」
「あの、連絡先とかは分りますか?」
「それが・・・日本を出る、と宗教部長に言っただけで、さっぱりらしいですよ」
「はぁ」
せめて一報くらい、と思ったものの、何とも「神父」サンらしいや、とワタクシは笑ってしまいました。今頃、何処の空の下で、酒かっくらってんでしょうね〜。もう、40代半ばくらいなんだけど。
実は、ワタクシはその頃心身ともに疲れていて、知り合いのツテがあって、「神父」サンにカウンセリングを受けてたんです。深刻なんじゃなくて、お話相手、みたいな感じで。
それにしてもちょっと、イカスオヤジでしょ?
(このオハナシはすべて、ホンマに実話です。したがって、実名はふせて置きました)
§ヴァン・ホーランとスロッピー・ジョー§
ジャック・ヒギンズの有名な作品はとくれば、『鷲は舞い降りた』『ヴァルハラ最終指令』等等・・・。最近では、シスターが暗殺者っつーのがありました。ああ、こおゆう設定は萌え萌えです。『裁きの天使』。ワタクシ自身、熱烈な読者というわけではないのですが、いつも地道に買って読んでしまう作家です。
しかし、あまり知られていないヒギンズの名作に『サンタマリア特命隊』という作品があるのを、皆さんはご存知でしょうか?
原題は"The Wrath of God"「神の怒り」(1971年)。ジェイムズ・グレアム名義で書かれたもの。
舞台は1922年、革命戦争後の無政府状態のメキシコ。主人公のエメット・ケオー(医師免許を持つ鉱山技師)は、故国アイルランドを捨てた元IRAのガンマン。ケオーはハバナへ向かう途中、アメリカから視察にやってきたという神父ヴァン・ホーランに出会う。彼らは数日後、同じ事件に巻き込まれてしまう・・・。インディオの血をひく娘ヴィクトリアとケオーとのロマンスやら、超悪役のドン・トマスやら、魅力的な人物とストーリーで、あれよあれよと読み進めていってしまうのですが。
しかし、特筆すべきは神父ヴァン・ホーランです。
実はニセ神父で、本人は指名手配の凶悪犯なのですが、これがまったく善とか悪とかを超越したキャラクターに見えるわけです。マシンガンぶっ放すキナ臭い大男の神父。(ここだけ読むと、違う人物が出てきそうだわ)
ううむ、我が不良神父《スロッピー・ジョー》は、ヴァン・ホーランへのオマージュかも知れないですね。おこがましいので断言しませんが。