第二十三話
 〜君よ、孤郷を瞻(み)よ I morti non si contaro〜
(前篇)


第一章 哀しみの子 SHE ENDURED HER SORROWS  
 
 (1)

 平和の象徴とされる鳩が、総てイル・クッポローネ(クーポラ)から追い遣られていた。異例の朝だった。
 無論、このような光景が全く今まで無かったわけではない。数年に一度は、あった。それは必ず宜しからざる命運を分かつ日々を決定する為に存在した。
 巨大なコンチェルト・ダ・キエザ(コンサートホール)を髣髴とさせる会議室は、宮殿の中央に配されていた。外観は中世そのままの姿を尊重した様式でありながら、会議卓の長大な面積上には各席ホログラフィが配置される仕組みにあった。無論、会議には欠席することも可能だが、いまだかつて危急の用件や疾病以外に会議を失礼したカルディナーレ(枢機卿)は一人としていなかった。
 しかし、この会議室はここ十数年使用されていない。
 「無駄な空間である」
 と、現教皇がこれを嫌って会議には殆ど用いず、狭い旧会議場を使用したためだ。
 教皇の姿勢は、常に息の掛かるほどの距離で各人と話すことにあった。
 否一度だけ、近年使われた事がある。公会議の決定会議の為だった。
「その時は、私は此処には居なかった」
 グレナデン・サフィールは、《鏡の部屋》を出ると、重々しい扉の向こうに想像を巡らせつつ、呟いた。秀でた額を顕したその怜悧な若々しい横顔が、銀の窓枠に映って消えた。緋色の枢機卿服は、まだ新しい。そして、回廊を闊歩する靴音はフラメンコのステップを刻むように快活そのものだった。
「だが、今私はこの教皇庁にいる」
 サン・ピエトロ大聖堂の最深淵に、まさかこのような会議室が存在するとは誰も外部の人間は思うまい。
 それは、『異端審問所(インクィジション)』の存在と等しく。謎めいたという点では、ヴァティカン聖庁のジオ・フロントほど奇怪なアトラクションは他に類を見ないだろう。
 巨大な黒い扉。白いラテン十字のレリーフ。右手に掲げたパスカードのみが、この扉の開閉を担っていた。グレナデン・サフィールは躊躇わずにパスカードをリーダーに通した。
 コオ、という音を立てて扉が開かれる。
 かつてここで異端会議が行われ、『ドレフュス事件』の発端と収束に関する会議が密かに行われた。『ドレフュス事件』とは、十九世紀末にフランスにおいて、ユダヤ系将校ドレフュスがドイツのスパイ容疑をかけられ、軍法会議で終身流刑にされたことに始まり、それがもとで当時フランスの反共和制主義者と共和制主義者との対立から国論を二分したのみならず、全欧米を席巻した論争に発展した事件である。
 事件の背後に国粋的なユダヤ人排斥主義を見るのは容易だが、反共和制に指導したのは他ならぬヴァティカンである、と当時からも一般的に囁かれていた。真実は秘するが花である。
 そうして、幾度もこの会議室―《黒の会議室》と呼ばれる―は、歴史の境目において重要な役割を果たして来た。
 歴史の陰に潜む女のようである、というので《淑女の会議室》と読んだ枢機卿もいたほどだ。
 会議室には、既に半数近くの頭数の枢機卿が集まっていた。

 会議録は文書になされない。只、数台のカメラが会議の模様と発言を記録しているだけだ。
「国連は既にそういった意味で《J7条約》を違反していると思われます」
 調査報告を精力的な声で行うのは、ロドリゴ・サン・トゥルメ枢機卿だった。鷲鼻気味の中高な顔が、古の武人を思わせる風貌であり、浅黒い張りのある肌が軍部出身者であることを裏付けていた。中米訛りがややもすると耳障りだが、それを除けば言論明晰にして、実に押しの強さは抜きん出ている、とグレナデン・サフィールは思った。
 列席する同期の枢機卿の殆どが二十代後半から三十代にかけての任命であるのに対して、サフィール自身は既にあと二、三年で四十の声をきく。容貌は若くとも、年齢に対する引け目は感じていた。
 尤も、彼は他人の評価に重きを置かない。故に、任命後半年にも関わらず他者が如何ほどサフィール枢機卿のずば抜けた叡智をかっているかなど、爪の先程も考えもしなかった。
 《J7条約》とは、《セヴンス・ジェノサイド条約》と呼ばれる、第七次《集団殺害の防止及び処罰に関する条約》である。
 前教皇クレメンス21世は、ユリウス11世の提唱した科学撤廃主義に基づいて、ジェノサイド条約改正を国連に提唱した。
 二十世紀半ばに国連で採択された《集団殺害の防止及び処罰に関する条約》から約百五十年後に制定された国際条約であることは明白。
 この回で、更新されたのは、集団虐殺使用目的で開発された兵器の撤廃、回収、製造禁止をAランク(民間標準生活区域)まで広げたことである。
 グレナデン・サフィールは、手元に配布された再生紙資料を眺めた。老齢の枢機卿達は、ホログラフィ資料よりも紙切れを好むからだ。資源の無駄だが止むを得ない。
「すると、国連軍の擁する精鋭《スパルタン》は、真の意味での強化人間(フォーティファイド)とやらを導入しているという事ですかな?」
 アウグスティン・リエントーレ枢機卿の、皮肉めいた声が響く。彼は枢機卿としてはサフィールの三十数年先輩にあたる。国務長官ガンドルフォの腰巾着という噂もあるが。
「その、強化人間というのを説明しては如何かな?」
 と、老枢機卿達が意見を重ねた。
 資料には逐一説明されている筈なのだが、誰もそれも読むつもりはないのだ。サフィールはあらかた予想していた展開になって、退屈してきた。
「一般的に我々が軍部で募っている志願制の強化人間は、あれはアカデミー医療法の範囲内なのです」
 やや苛立ちを隠しきれない口調で、トゥルメ枢機卿は説明し始めた。グレナデン・サフィールが真向かいで目配せすると、彼は額の汗を拭って瞬きした。
(キアラモンティに任せてはどうだろう?)
 という意味を含めていたのだが、サフィールの提案は却下されたようだ。マッフェオ・キアラモンティは科学省に所属していた、同期では最もサイエンステクノロジーに優れた人物だ。その当人はといえば、論文という名の内職に没頭していて、会議などまるで他所の国の出来事という顔だ。
「人体の構造上、再生する可能性を持つ部分を遺伝子操作する事は、各々御存知かと思われますが、医療行為上国際的に合法です。それも一定数値が決められていますので…例えば、筋繊維なら再生速度及び耐久力を通常人の三倍までであるとかですね」
 ロドリゴ・トゥルメ枢機卿は、資料を見ながら言った。
「それをほぼ一定期間以上、つまり兵役期間を決めて行う以外です。勝手に再生するよう遺伝子操作してあるのは合法とは言えません。ここが境目ですな。そこまでは、神の意思に従った人為とでも言いましょうか」
「君達お抱えの優秀な密偵の努力の結果に拠ると、《スパルタン》に存在する規約違反の強化人間とは、どの程度の数に及ぶのかね?」
「数は問題ではありません」
 よく通る声で問答を遮ったのは、アルフレード・ティレリ枢機卿だった。
 灰色の薄い瞳が、卓を舐めるようにして視点を変えた。フィレンツェ出身のこの枢機卿は、歳若くカリスマに溢れていた。貴族階級であることを示す線の細い肉体と白皙が、一段と黒い背景に映える。
 落ちぶれたカスティリャの田舎貴族の出、しかも冴えない考古学者に過ぎなかったグレナデン・サフィールにしてみれば、この男は憧憬の塊ともいえたが、同時に永遠に愛せない存在でもあった。
「『存在する』ということそのものが問題なのです」
 アルフレード・ティレリは微笑もせずに言った。会議室は、実に水を打ったように静かになった。
「条約を唾棄するような真似をのさばらせている訳には行きません。地上の大半ディアスポラを統括する教皇庁としては。強化人間は、その存在自体が集団虐殺目的の生体兵器なのですから」
 ティレリは続けた。完全に、会議の主導権は主導権はこの若い枢機卿に移ってしまったようだ。
「然らば即ち制裁を」
 の所でティレリは言葉を止め、深呼吸してから次の句を継いだ。演出する男だ。
「という訳には参りません、諸兄。ヴァティカンは一旦ここで取捨選択を行わねばなりませんな」
 会議卓が微妙に振動したのを、サフィール枢機卿は感じた。国務長官ら南面の席がざわめきを隠し切れない様子だった。何を言うのか、この嘴の黄色い若僧どもが、といわんばかりの雰囲気だが。
 それさえも、アルフレード・ティレリは嬉々として受け入れた。予想通りの反応だということだ。
「何を?」
 ガンドルフォ国務長官は静かに聞いた。だが、声音はやや威嚇を含んでいた。此処は表の会議室とは趣を異にする。緊迫感に満ち溢れていた。恰も頭脳と精神のコロッセウム(闘技場)のように。
「我々が彼等《上層都市》の人間を断罪に追い遣るには、予めそれ相応のリスクを背負う必要があるという事です。つまり…」
 アルフレード・ティレリは、抑揚のない冷静な声で言った。その小賢しい言い草がさも気に食わない、というかのようにアウグスティン・リエントーレ枢機卿は鼻を鳴らした。

「軍部の解体です」
 会議席がどよめいた。六十数名という枢機卿の数だけ溜息が漏れた。平静と変わらないのは、十名にも満たなかった。
「《ヴァティカン五軍》を解体するのです。即刻、という訳には参りません。しかし、遅くとも十年、十五年後には解体、統合すべきでしょう」
 ティレリ枢機卿は、黒い壁を見遣りつつ流れるような美しいラテン語で言った。
「今から諸兄に配布する資料は、その提案です。飽く迄草案に過ぎませんが」
 すかさずティレリの脇で資料を掲げたのは、ロドリゴ・トゥルメだった。
「バカバカしい!」
 と、リエントーレ枢機卿が卓を叩いて立ち上がりかけた。
「何れ内紛が絶えないトルコ及びバルカン半島の制圧はどうするというのだ?五軍無しには統制が取れるものか。それに、既に国連軍は地上に基地を増設している。ヤツらを野放しにしておいては、何の為の《J7条約》か分からない」
「国連軍の駐留は、合意の上ですので仕方ないでしょう。中東問題はご心配召されるな。インクィジションにて対策を考案中です。まずは資料にお目を通して頂きたい。軍部は、統合した一軍で事足ります」
 アルフレード・ティレリは余裕の表情を浮かべ、卓の上で十指を組んだ。
「その上で我々は、如何に生体兵器が凶悪で倫理に背信するものか、ということを説かねばなりません。総ては憎むべき戦禍を回避する為にです。第三次大戦が斯くも大袈裟でくだらない、人類史上最も無駄な戦いであったことか。尤も、その御蔭で聖庁はこんにちの領土を獲得出来たのですが、それは本末転倒。カトリック総本山が目指すのは現世界の秩序ではありません」
 灰色の眸が光った。
 グレナデン・サフィールには彼が何を言わんとするか、総てが既知だった。
「禁欲・自制・無私。これらの言葉は悉皆(しっかい)、彼等プロテスタントの浅薄な合理主義によって壊滅されて来ました。しかし、真に愚かで脆弱で愛すべき人間にとってよかれと思う秩序を整え、必要に応じて大衆を律し、幸福へ導くのが我々の使命であるとするならば、原精神のみでは容易にその道を行ない得ないのも事実です」
 原精神とは、イエス・キリストの原精神をいう。だが今更、二十三世紀の人間にとって「上着を求められたら下着まで差し出せ」ような事を本気で迫っていては、困るのだ。
 その意味では、カトリックは常に転変してきた。
「法王は法王、枢機卿は枢機卿。教会は教会である以上、純粋に原義を求めて道を説くわけには行きません。人間は神を超越出来ない存在です。持てる国と持たざる国との分裂、グローバル利益を得る者とそれらから排除される者、すなわち《上層都市》に至る先進国家がとそれに対立する貧困に喘ぐ民族、国家を総て我々が預かろうといった時点で命運は決していたのです。今のパレスチナ自治区が最たる象徴ですがね」
 アルフレード・ティレリの演説は止まらない。呆れる程に巧い口調に、グレナデン・サフィールは失笑せざるを得なかった。時と場合によっては、独裁者にも成り得ただろう程だ、と。
「何も見返りを求めているのではありません。報復でもありません。それこそ教義に悖る行為です。しかし、このまま彼等の野放図を見逃して置いては、鎮火し始めた火事も再び燃焼する可能性があります。そこでです」
 ティレリは指を軽く鳴らした。会議室の扉が開いた。小暗い通路に人影が投影された。
 男はカソック(僧衣)も身に着けていなければ、勿論ピレタ(角帽)も被らずカズラ(祭服)姿でもない。
 男が数歩あゆんだ時、その面差しがはっきりと会議室に並ぶ赤い僧服の人間達に晒された。
 長身で、整えられた髪は黒々と光り、意志の強そうな四角い顎と真ん中にギリシャ彫刻のように鎮座した獅子鼻が印象的だ。何処か女性の母性本能を擽る類の魅力を感じる顔付きは、少なくとも会議室の面々には余りに不釣合いだった。
 そして、男は白衣を身につけていた。
「ヴァティカン科学アカデミー医局長、ジャック・フィリップ・ブールヴァルド氏です」
 ティレリの紹介と共に、ジャック・フィリップ・ブールヴァルドは会釈した。
 この《黒の会議室》はじまって以来、初めて僧籍を持たない人物が列席したという愕きに、枢機卿達は眼を丸くした。
「旧ユーロ総合科学研究所以来、ドットーレ・ブールヴァルドは長年ある研究を続けていらっしゃいます。あまりに有名なので、博士のプロフィールは諸兄も御存知かと思われますが」
 ジャック・フィリップは無言で卓の周囲を歩き、ティレリの脇に佇んだ。
 彼の名が此処のメンバーに知られているのは、主に科学者としてではない。ガブリエル・ブールヴァルド教皇報道秘書官の息子としてだ。
 
東洋哲学者でもあり、前教皇インノケンティウス31世の家庭教師も務めたガブリエル・ブールヴァルド。《科学撤廃主義》を主張する《ソダリティウム・ベネディクトゥム》という組織のドグマの中心にいた人物。
 その息子であるジャック・フィリップ本人は父親とはまるで正反対の道を歩み、当然対立もあったのだが。ガブリエル・ブールヴァルドが死して数年。教皇も代替わりした。
「ドットーレに来て頂いたのは、他でもない、軍部の解体に代わる『切り札』を準備して頂くからなのです」
 アルフレード・ティレリは静かに言った。
 グレナデン・サフィールは、その冷たい瞳を見据えた。視線が合う。
「『切り札』とは、何なのだ?」
 既に半分諦念に囚われているかのようなガンドルフォ国防長官は、頬杖をついて質問した。
「強化人間を凌ぐ強化人間を創造することです」
 あっさりと、アルフレード・ティレリは手の内を明かした。
 その言葉の意味不明な響きに、どう反応していいものか判りかねている人間も少なくなかった。
「創造した上で、まことしやかな噂を流せば彼等は食いついて来ること必定」
「…バカな!それこそ神に悖る行為ではなかろうか?」
 ガンドルフォ国務長官は吐き捨てるように、言った。
「人間が人間を創るなど。クローンの禁止条約で既に国際法に挙せられているのだ」
 事はデリケートな問題である、と誰もが思い、同意の声が忽ちにして、上がった。
 だが、それに被さるようにして、ティレリの笑声が卓の中央に向かってクレッシェンドを唱えた。
「何が可笑しいのだ、卿(けい)は?」
「ハハハハ。産児調節問題の時もそうでしたかな。パウロ六世が断罪したコンドームによる避妊も結局は人口爆発の為に二十一世紀末には認めざるを得なくなった訳ですのでね。原精神にのみ捉われない『開かれたヴァティカン』には、日々進歩が必要です」
 ティレリの顔からは笑みが消え失せていた。
「それに、創造したものを存続させておく必要があるとお思いですか、諸兄?」
 ティレリはやおら立ち上がった。
「我々の目的は何ですか?上の連中を裁けばそれで、いいのです。それまでに費やした物総ては用済みでしょう。消し去れば問題ないのですよ。然るべき段階を踏んで」
 灰色の瞳が鈍く曇った。会議卓に居並ぶ枢機卿達を360度見回す。
「何となれば、自然に神の御意のままに生きている我々の存在が全否定されてしまいかねない。いや奇怪な信仰にとって代わられることだけは避けなければなりません。例えば、かつて女教皇の存在を葬り去ったのと同じですよ」
 会議室は、ある種異様な空気に包まれていた。
 今更になって、グレナデン・サフィールは激しい後悔の念に囚われ始めていた。引き合わせるべきで無かった者を引き合わせてしまったのは、己の所為に他ならない。
 最も北に位置する場所にいた白衣(びゃくえ)の男が、漸く口を開いた。
「成功を祈っている。―主のご加護が汝らにあらんことを」
 第102代教皇インマヌエル18世だった。教皇は、濃く引き締まった眉の下で目を瞬いた。明らかに、ティレリの根回しは終わっていたことも、サフィール枢機卿は知っていた。
 この陳腐な脚本を総て手掛けたのは、グレナデン・サフィール自身なのだ。
 何より、こうした展開を望んでいたのは教皇その人であり、既に進化することを拒み始めた古い部品は老朽するのみであって、一定期間で交換されなければならない。つまり、側近の権力は新世代へと向かっていた。
「御意。ノストラ・エターテ(我々の時代)の為に」
 アルフレード・ティレリの朗々とした声が響き渡った。
 後に、ガンドルフォ国務長官及び、リエントーレ枢機卿を中心とする軍部維持派は、ウズベキスタンにおける《トゥーラン運動》の失策によって引退を余儀なくされ、事実上失脚する。国務長官の席を空席にし、取って代わったのが誰あろう、アルフレード・ティレリ教皇代理枢機卿その人である。
 ティレリの敏腕は、遂にアドリア海に新教皇庁を築き上げるべく、その礎としてヴェネツィアに《ディジトゥス・デイ》なるアクア・フロート計画を齎した。
 そうして、教皇の最高諮問機関であるグルッポ・カルディナーレ(枢機卿会)は完全に新旧交替した。
 アルフレード・ティレリ教皇代理枢機卿(ローマ司教総代理)を筆頭に、枢機卿ロドリゴ・サン・トゥルメ国防省長官、ジアチント・バルベリーニ財産管理局長、枢機卿ジョナサン・フュリエリ聖務省長官、枢機卿マッフェオ・キアラモンティ科学省長官、枢機卿ヤン・フランツァ・ドブチェク法務省長官、そして枢機卿グレナデン・サフィール異端審問所所長。会議長は年長であるサフィール枢機卿に。
 ヴァティカン五軍が廃止されたのは、この《黒の会議室》での会議後、十五年目だった。
 第一章(2)へつづく

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